■勉強会 Study Session
東京支部の月例会で毎月何をやるかを私が決めるわけですが、6月のテーマは「モミジ」と、加えて「ミニ展示会」を呼び掛けて、皆で簡単な飾りをたのしむことにしました。単純に私が皆の飾りを見たかったというのもありますし、私自身も飾ることに飢えていましたし、こんなご時世ですが節度を守りつつ少し息を抜く場所を提供したいというのもありましたし。
雑な撮影で申し訳ありませんが、飾りの風景をYouTubeに上げておきました。
参加はベテランさん組が戻らずまだ少ないですが、早い方はもう2度目のワクチン接種を終えたようです。私の世代はまだでしょうが、ワクチン接種が進むことでまた展示会を開くことができるビジョンが少しずつ見えてきていると言えます。
盆栽を飾るといってもピンとこない方も多いと思います。土や肥料を使う故になかなか屋内へ持ち込むことを忌み嫌われた過去もあり、それを屋内で飾るという次元に来るのはそれこそ近代に入りずっと経ってからのようですが、床の間飾りの様式を借りてこれを発展させていきました。私は盆栽も盆栽飾りもまだまだ若い文化だという見方です。
長く続くコロナ禍で私は飾ることに飢えていたので、2席使っておおいに遊ばせていただきました。
1席目はこちら。カエルと亀の絵鉢とたまり石を使って、水のある景色をイメージしています。
左よりツタ。添配(文房具入れ)。このツタは毎年花が咲きます。
添配として使っている筆入れ。盆栽飾りのルーツは座敷飾りになりますが、座敷飾りでは主に付け書院で文房具を飾ります。
書院造りの主室に作り付けられた床の間・違い棚・付け書院・帳台構えなどの総称。また、そこに飾られた物。掛け軸・燭台(しょくだい)・香炉・花瓶などがその要素になり、付け書院には硯(すずり)・筆・文鎮など、違い棚には茶わんや茶入れなどを置くことが多い。現存する最古例は京都の慈照寺(銀閣)東求堂の同仁斎(どうじんさい)。
この筆入れは昔、雛道具専門の骨董店で出会ったものです。百合の絵がフタにあり夏の、特に今頃の飾りにちょうど良いと思い頂いておきました。箱の中には硯と亀の形をした水滴しかありませんが、きっと筆もあったのでしょうね。
これは模した玩具ですが、これより少し大きくはなりますが昔は組み立て式の筆などを使い実際に使える小型のおしゃれ箱入り文具セットがあり、そんなものもそこでは販売していました。なんとなく、今でいうホステスさんみたいな人がおしゃれなのを使ってお客さんへチョロっと手紙なんて書いてそう、とか想像してしまいます。
上から檜、たまり石、屋久島コナスビ、右がモミジ(織姫)。
モミジの右がモジズリ(ネジバナ)。
モジズリをこの大きさで咲かせればなかなかだと思います。花弁がまだ薄皮にくるまっていて、開くまであと数日早過ぎました。
2席目。草オンリーで飾ってみました。
筑紫カラマツ。
イワヒバ、姫イブキジャコウソウ。
イワヒバ(牡丹冠)+ヒバリマサキ
ヒトツバショウマ、タイトゴメ(+日高ミセバヤ)
ヒトツバショウマ
草だけで面白く見えるように、草の動きを拾ってそれらしく飾ってみました。たのしかった!
草は作り込むわけでなく、もちろん手を加えるにしても、持っている要素を拾い上げて美しさを引き出すものだと思うので、作り込むことに熱心な方はそれゆえに入り込めないのかも知れませんね。
この日はこうして簡易的な席飾りをたのしみ、そのあと、葉刈りを中心にこの時期のモミジの作業についての話をさせていただきました。当然家に戻ると一気に疲労が押し寄せ、もう使い物にならぬダメ人間が出来上がっていましたとさ。