■タイトゴメ(万年草)+ミセバヤ Siebold's Stonecrop

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 ブログが新しくなってから一番登場回数の多いのが、このタイトゴメかも知れません。ミセバヤと同じく、小さな多肉植物です。

 とことん丈夫で、思う存分鉢合わせを楽しめるという点で、強くお勧めできる草です。

 このタイトゴメとミセバヤとの組み合わせは私的には黄金コンビのひとつで、タイトゴメの細い軸の動きとその先につく細かな葉姿、ミセバヤの花のような葉姿が、赤味を帯びて青磁の鉢に映え、可愛さの中にも「わびさび」を感じれる風情だと思います。まあ、私くらいになると、肉体の約7割が「わびさび」でできていますからね。

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 使っている鉢は昔、まだ鉢を作り始めた頃に一蒼さんに焼いていただいた自作です。石垣に草が生える姿をイメージして作りました。

 

 盆栽をご存知でない方の多くが、盆栽というのは主に松だという認識のようです。確かに大物盆栽の展示会では松柏が多いですが、それでも葉もの、花もの、実ものと、雑木の種類もたくさんあり、季節ごとにいろいろな樹種の姿をたのしみます。

 そして大きさが小さくなると、さらに使う樹種は増えます。樹の種類が増えるだけでなく、小さい盆栽の飾りの中では、季節や景色をより色濃く物語る「草」というものが重宝されます。そしてそれは盆栽という方法論に沿ったものなので、鉢(盆)と栽(植物)の組み合わせでその魅力をより引き出し、飾りの中でありもしない景色を詠ってみたりするんです。それは、物語のようにだったり、あるいは象徴詩のようだったり。私の盆栽の先生は、小品盆栽は「園芸の俳句」だと言っていました。

 コロナ禍を通じて、私のまわりの人間でも多くが、今まで植物など育てることのなかった方が、何やらゴソゴソと育て始めています。そんな方が、これを機に盆栽をかじってみていただけたら嬉しいですし、その際は、現在私が代表を務める日本小品盆栽協会東京支部がその受け皿となれたらいいなと、そう思っています。(興味のある方は右のサイドバーのリンクからホームページ小品盆栽 .TOKYOをご覧ください)

 盆栽は、生活の一部として樹と共に生きる、つまり長く続けるところにその醍醐味があって、長く続けるのには、濃い薄いの好みは人それぞれあるにしてもやはりリアルでの交流があったほうが刺激を受けて良いと思います。あとはそれを自分好みにカスタマイズすれば良いのですから。

 新しく盆栽を始めている方、がんばってください。