■赤松 Japanese red pine

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 盆栽界隈に顔を出し始めた頃、2007年の秋に展示会売店でたくさんのタネの入った袋を買い、すべて蒔いたら知人に「そういうのは全部蒔くものじゃない」と諭された。当時はこの赤松と他にヤマモミジのタネをしこたま蒔いて育て、結果、同じ樹種でも実生するとじつに様々なクセが生まれることを知る。普通に考えてみれば、人間も同じだった。

 

 008年発芽と考えると気付けば約13年...幹が割れてこそいませんが、最近は赤味を帯びてきました。枝先まで7.5センチ、葉先までだいたい10センチくらい。

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 私に人に教えるだけの技量はありませんが、教えなくてはならない立場ではあるので、基本の大切さを伝えるように心がけています。この樹はよく根張りの悪さにフォーカスを当てて残念な見本として話すことになります(樹にとってみたら迷惑な話です)。

 この、三方根となっている根張りの悪さをできる範囲で見れるようにすると、植え付けを変え、正面を変え、それなりの量の枝幹を抜く、大掛かりな改作になってしまいます。

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 樹の下の方になるほど改めるのが大掛かりになってくるので、樹の現在を見定める時やタネ木を選ぶ時などは、樹の下のほうから根張り、立ち上がり、幹...と確認していくように勧めます。タネ木を買う時は、「改め仕立てる手間・時間」と「価格」が割に合っているかを判断することになります。

 また、根張りでもうひとつ言えば、あまりに根張りが偏れば幹が扁平になる場合もあり、逆に四方八方に広がる根張りは将来的にその樹の立ち上がりを含めた幹を、そのコケ順を美しいものにしてくれます。

 つまり、根の張りは幹にも影響してくるということですね。樹の上部ばかり見て、足元を苔で隠してばかりいると大切なことに気付けません。