■真柏  Shimpaku juniper

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 徒長した芽を挿し木してからぼちぼちの年数が経ち、最近はやっと盆栽っぽくなってきたので、去年あたりから幹を削り始めています。

 私の先生T屋さんは(少し前の盆栽世界に出ていたそうですが)、針金で作ることをしません。樹を「作る」なんて言葉も「おこがましい」と、あまり使いたがりません。そういう人が真柏を仕立てる時、何を頼りにするかというと、「枝の脇から吹く芽」です。成長点はどうしても先へ先へいってしまうもので、これは生理としてどうしようもないと。そこで盆栽人はこれを針金でたぐる。T屋さんは脇に吹く芽に枝を置き換えて、成長点を引き戻す。

 でもそうそう都合の良い場所に芽が吹くか?という風に思うかもしれませんが、

「ここに吹けと念じていると、案外吹くもんだよ」

 なんて冗談半分に言ったりします。半分は冗談でも、半分は本気の様子。そんな人がサイエンス誌などの科学雑誌を読むのだから、事がややこしくなります。