■杉 Cedar

 YouTubeに動画を投稿しました。今回は杉の豆盆栽の作業動画です。

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 杉といえば、普段意識していなくても日本の生活の至るところに文化や風土として根付く樹の代表でもありますね。私は子供の頃ドラえもんで読んだ「死神山のどくろが見つめる一本杉のねもとにうめてある」が忘れられず、宝物というのはだいたいが裏山の一本杉の根元に埋まっているものだと信じ続けています。

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 今は花粉症でだいぶ印象を悪くしていますが、そして私自身もずっとその花粉症に苦しんでいますが、悪いのは人で杉じゃないんですけどね。

 例えば深山で古さのあまり主幹を失ったお化けみたいな杉も良し。里の近くでドクロに見つめられる?一本杉も良し。枯れススキや道祖神を添えて寂しい景色も良し。黄梅やレンギョウ、あるいは春の草花と共に里への春の訪れを詠うも良し。とにかく情のある景色が生まれやすいというのがこの「杉」の良いところです。私に根付く盆栽の本質は樹形や技術以上にこういった空想の中に生まれる詩情です。

 一方技術的な面では、豆盆栽としても、松のように樹皮が古くなるまで10年以上かかるわけでもなく、八房の性を選べば切り戻しもしやすく、足元を湿らせておけば不定根も出やすいので根張りもどうにかなりやすい。とても作りやすい樹種です。特に芽摘みを勉強するのにはとても良い樹種だと思っています。