■秋グミ Japanese silverberry

 今回はまず、2020年1月の名品展から、私の先生の席。

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 左からエノキ、添配(道祖神)、石化ヒノキ、姫叡山苔、長寿梅、クチナシ、秋グミ。やはり、きれいな飾りです。

 樹種名札には席のタイトルとして「一里塚」とありました。

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 エノキと道祖神

 そのタイトルの通り、一里塚(昔、旅行者のための目印として1里ごとに設けられた塚)に植えられたというエノキと、悪霊の侵入を防ぐ目的で主に村境に置かれた「道祖神」の添配が手前に。

 つまり、この先はまったく辺ぴな寂しい場所ですよっていうストーリー。

 このエノキはちなみに去年の盆栽世界にも載っていました。

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 樹齢30年以上。このサイズを20年持ち込むって、本当すごいと思います。

 そしてもうひとつ書いておきたいこと。

 搬入の際、先生が展示席の樹種名札への記載を「榎」ではなく平仮名で「えのき」にするよう指定するので話を伺うと、冬(名品展は1月)なのに木へんに夏と書いたら季節がおかしいだろう、と。

 あ、えっと、はい笑...

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 村境を越え、その奥には山の景色が広がっているという、安定感のある飾り。飾りだけじゃなくて卓も繊細。こういった繊細な魅力を持つ樹を見せるために作られた舞台装置。こんな卓を引き継ぐことができたらなぁ。

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 さて、なぜ今さらこの飾りの記事を書いたかといいますと、この飾りの右側の樹がこの記事の主題だからです。

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 右側の秋グミ。小さな樹のくせにしっかり実をつけています。この秋グミが、縁あって昨年我が家へ来たわけです。

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 また同じ枝に花をつけています。

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 このサイズの鉢の樹は一度のミスで永遠の別れとなるのでハラハラします。