■朝霧草 Silvermound Artemisia

 朝霧草は普通に育てれば花をつけますが、見所はやはり葉の姿です。特に私が好きなのは、秋から冬の枯れ姿。すっかり白くなった葉を花のように頭に残し、ひょろり頼りなく立ち上がった軸の風情。そこに瑠璃の鉢を合わせると、もう世界が凍りついてしまいそう。

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2017年1月 名品展より

 しかし朝霧草は最初からこんなに小さな姿をしているわけでなく、もっと大きくて、それなりに伸びるものです。でも、鉢を小さくすることで、そこで生きるのに適した大きさに収まってくれます。

 寒くなり地上部が枯れ込むにつれ新しい芽が地際に出てくるので、春、枯れた軸を切り詰め、この芽が伸びる前に小鉢へ収めれば良いわけです。

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 さて、コーヒーフレッシュ鉢で持ち込んでだいぶ葉が小さくなったので、瑠璃の木瓜鉢に入れてみました。

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 朝霧草は挿し木が簡単ですので、切り詰めた軸を挿しておけばほぼすべて発根します。増やしたければゆるい鉢で育てた軸を挿しておけば良いですね。

 それが春までに根際に芽を持ちますから、その芽まで古い軸を切り戻して、それを芽が伸びる前に小鉢へ収めればまた小さいのが出来上がるわけです。

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 あるいは、思いっきり伸ばしてしまった朝霧草を成長期間中に根際まで刈ってしまうことで強制的に再び根際に芽を持たせるということも可能です。

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 植物の生理に沿って生まれる力に、私が少し働きかける。

 それが私の心地良い草盆栽かな。